弁天様と道祖神

私達が住んでいる人間界に、幸福をもたらすという天上界の七福神の中で唯一人の女神である弁天様は、それはそれは 美しかったそうです。 姿かたちも美しく心優しく、その上技芸に勝れ、歌舞音曲の腕前もたしかだったので、その声を聞くだけでうっとりするというほど、男神達のあこがれの的だったのです。
一方道祖神は、国境の峠路や、村境の四つつじに立って道行く旅人の安全を守り、村内に入ってくる病魔や災害を、一生懸命防いでいました。足の弱い人の為に自分の片足をあげてびっこにもなったそうです。足の病気を直してもっらった村人は、わらじを編んでびっこの道祖神に片方をささげて、感謝の心をあらわしました。 ある日のこと、田舎者の道祖神が辻でばったり弁天様に合い、にこやかに微笑んで会釈をして通りすぎる弁天様を一日で好きになり、日夜思い続けました。 ちんちくりんで足の不自由な道祖神には、弁天様の心とらえることが出来ませんでしたが、正直者の道祖神は唯つじに立って、ひたすら弁天様におあい出来る日を待ったそうです。
ある日、やっとのことで弁天様に出会いました。余りのうれしさに大声で弁天様の名を呼んで、傍に走って行こうとした途端に、驚いた弁天様は、ヒラリと飛んで池の向こう岸へ行ってしまいました。
片足の道祖神は追うことも出来ないでそのままつじに立って、弁天様が池を渡ってこちらの岸にお戻りになられるのを、今か今かとまち続けました。
今でも弁天様は水辺か池の傍 にまつられており、その近くの道のつじには道祖神がまつられています。

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