中学校教諭の小学校教諭兼務発令による連携

笠間市小中連携モデル

「中学校教諭の小学校教諭兼務発令による連携」の成果と課題

笠間市教育委員会

1 はじめに

中学校1年生に学校不適応が多く,不登校生徒も増えることから,「中1ギャップ」という言葉が生まれました。教科担任制     になることや部活動など異学年での活動が増えることなどがその原因ではないかといわれています。本市では,南小学校と 南中学校において,平成16・17年度に国立教育政策研究所の指定を受け,小中連携の研究をし成果を上げています。公立でも「小中一貫校」の設置が現実的になってきています。

笠間市では,小学校の学習を中学校教諭に担当していただくことで,児童個々の状況を中学校へ引き継ぎやすくすることが でき,さらに,児童にとっての中学校進学の負担軽減になるとともに,小中の連携が深まり,「中1ギャップ」の解消に効果的なのではないかと考えました。

2 実施に当たって

(1) 学校の選定と教科の選定

学校の選定にあたっては,授業時間に比較的余裕があり,これまでの実績があるということで,東小学校と東中学校,南小学校と南中学校に協力いただくことにいたしました。教科については,「音楽科」と「図画工作科」にしました。これらの教科は,最近「専科教員」の配置が求められているからです。

(2) 担当学年

中学校の音楽科及び美術科担当教諭が当該学校の6年生の授業を担当します。

(3) 実施要項

実施要項については,別表のように定めました。

3 平成21年度の成果と課題

(1) 成果

生徒(平成22年度 中学校1年生 41名)からの声

  • 中学校へ進学しても安心して授業が受けられた。(80%)
  • 中学校の授業への興味や関心が高まった。(39%)
  • 授業が始まるのが楽しみだった。(54%)
  • 中学校への不安が消えたので是非続けてほしい。
  • 怖いイメージがなくなり,進学が楽しみだった。
  • 厳しさもあったが中学校の様子が分かってよかった。
  • 中学校の授業の様子が分かっていたので安心して取り組めた。 

担当教諭からの声

  • 専門性を生かした指導ができ,意欲や技能の向上が見られた。また,豊かな表現力も身につけることができた。
  • 系統的な指導ができるので,学習内容の連続性を有効に生かせた。
  • 中学校進学への準備として,教科担任制を経験させることができ,不安の軽減に役立った。
  • 小学校での子供たちの様子が分かり,中学校入学後の指導に役立った。

(2) 課題

  • 急な授業変更にどう対応するか(連携のあり方)について
  • 学級担任との連携のあり方について

(3) 授業以外に小・中が連携して取り組んだこと

  • 体育祭や文化祭での交流や参加
  • 授業や部活動の参観
  • あいさつ運動
  • 地域の行事「ヤマメの放流」への参加
  • 選択教科の交流学習
  • 理科の実験でのT.T.
  • 小中連携教育に関する協議会

4 平成22年度の成果と課題

(1) 成果

児童(平成22年度 小学校6年生 45名)からの声

  • 授業が楽しみだ。(93%)
  • 丁寧に指導してもらえてよい。(51%) 
  • 学習内容に興味・関心が高まった。(71%) 
  • 中学校の先生からの指導が楽しみ。(49%) 
  • 中学校進学への心配が減ってきた。(29%) 
  • 分かるようになった。できるようになった。上手になった。好きになった。
  • 中学校へ行くのが楽しみ。
  • 気軽に先生と話せて中学校の情報がもらえてよい。
  • 難しいこともあるが,それができるとうれしい。

学校からの声

  • 楽しみながら授業に参加し,技能が向上している。 
  • 兼務者への親しみが湧き,6年生になったらと期待する児童が増えてきた。
  • 美術展や行事に向けて充実した指導ができた。
  • 9年間の系統性を意識して抜けのない指導ができた。
  • 小学校での学習の成果が感じられたので中学校での指導に役立ちそう。
  • 中学校での指導方法が生かせるところもあり有効だった。
  • 来年度の入学生の様子が分かり,学習や生活指導に生かせる。 

(2) 課題

  • 兼務者と学級担任の情報交換の時間の取り方について
  • 時間割の変更や振替について

(3) 平成23年度の実施に向けて

  • 合同体育祭や文化祭など行事の共同開催をしてはどうか。
  • 他教科でも専門性を生かした「飛び込み授業」を実施したい。
  • 中学校の専門性を生かして指導技術等の校内研修会を実施したい。
  • 授業や部活動などの参観や体験,ボランティア活動をすすめたい。


別表

笠間市小学校中学校教諭兼務発令にかかる取り扱い要項

笠間市教育委員会

  1. この要項は,笠間市立中学校勤務教諭が小学校の教科指導のために兼務発令された教諭(以下教諭という)に対して,職 務遂行にかかる取り扱いについて定めたものである。
     
  2. 教諭の在籍は中学校にあり,校務分掌等についても小学校には所属しない。
     
  3. 小学校での勤務は,下記のとおりである。
    (1) 当該教科の指導のみに当たる。
    (2) したがって,学校行事,対外行事等における指導並びに参加等には当たらない。
    (3) 当該教科の評価は担当する。通知票,指導要録等の評価,児童の教科指導時の特筆すべき態度等の情報は,作成及 び報告をする。
    (4) 通勤,準備,打ち合わせ等指導に必要な時間は確保する。原則として,訪問指導等には参加しない。
    (5) その他協議の必要な事項が発生した場合は,状況に応じて,管理職もしくは教育長に報告し,対応する。
     
  4. 中学校での対応は,下記のとおりである。
    (1) 小学校での勤務時間等を考慮し,校務分掌,学校行事等にかかる分担等について配慮する。
    (2) 教諭が察知できる小学校内の情報等には,守秘義務が成立するが,必要に応じて小中連携の視点で交換することができる。
    (3) 兼務発令以外の教諭についても,小学校との連携を視野に入れかかわりを重視する。
     
  5. 笠間市音楽会,笠間市美術展などの練習,作品作りは,小学校の音楽主任や図画工作科主任が担当する。ただし,授業 時間を使って指導する場合は,教諭に相談し教育課程を逸脱しない範囲で実施できるものとする。
     
  6. 教諭は,担当する小学校の教育目標,教科における課題等を把握し,目標達成や課題解決に努力する。
     
  7. 各校長は,兼務発令の趣旨を理解し,当初の目標が達成できるよう支援する。
     
  8. 兼務発令の成果等については公表をする。


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「中学校教諭の小学校教諭兼務発令による連携」の成果と課題(PDF 93KB)

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