岩間の地域紹介

あずま長者【持丸長者】

あずま長者【持丸長者】今から九百年ほど前のお話です。源氏の大将八幡太郎義家が、五万の大軍 を率いて奥州の蝦夷を征伐して都へ帰る途中一行は上安居のあずま長者屋敷 へ立寄りました。 「長者どの、都へ帰る途中じゃ。やっかいになりますぞ。」
と、声をかけると長者は、
「はい、このたびは、めでたく奥州の蝦夷を討たれたそうでおめでとうござ います。長い旅でさぞお疲れでございましょう。どうぞ、ごゆっくりお休み ください。」と言って、一行をもてなす支度に大騒ぎとなりました。
長者の家は大金持ちで、現在の吉沼辺りから上安居の長者山【常磐自動車 道沿い】の辺りまで、穀倉が連続して幾連も建ち並び、広大な屋敷内で多く の下人を使い、何一つ不自由のない生活をしていました。
そのような長者様 の家に、源氏の御大将がお休みになるというので村人は、続々と集まって来 ました。御大将を一目なりと見たいもの、老若男女が集まって長者屋敷の周 りは、上を下への大騒ぎとなりました。
長者は、もてなしに御無礼があってはならないと、細心の注意を払い、あ りったけのご馳走を作り、珍しい品々を集めて酒、肴を振舞ったので義家も 驚くほどの豪華なお膳が並びました。
義家一行は、機嫌よくくつろいで、あくる日出発することになりました。 ところが出発まぎわになって折悪しく、雨が降り出してなかなか止みそうも ありませんでした。すると、長者は、すぐに五万人分の雨具を用意して差し 出しました。義家は、
「長者どの、大変馳走になったの。ありがたく礼をいうぞ」 と言って出発して行きました。
長者も家人も村人も客人一行が無事に出発した ので、ホッと一安心して各自が家々に戻りました。
義家は、礼を言って引き揚げはしたものの、
「このように豊かな富を貯えた豪族をこのままにしておいたらやがて災いを 起こすかも知れない。今のうちに滅ぼしておいた方がよかろう。」
と主だった家来と相談五万人窪から急きょ引き返して、長者の家に火を放ちま した。
「火事だあー。火事だあー。助けてくれー。」
あれよあれよと逃げまどい、火消しに当たろうとする長者屋敷の家人や村人 たちを、義家の軍勢は手当たりしだいに切り捨て追い払い、すっかり焼き払っ てしまいました。
豪勢を誇っていた長者屋敷は、穀倉と共に跡形もなく焼け落 ちて、一族も皆滅んでしまいました。
長者屋敷伝説のあと(今は畑になってい る)からは今も焼き米がたくさん出てくると言うことです。

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