岩間の地域紹介

観音様のお猿

観音様のお猿むかし昔、隠沢の観音様はずっと人里離れた山の中腹にあって、大きな杉が生い茂り、昼間でもうす暗いほどでした。
参道の石段あたりにはしいの木がたくさん茂り、昼間でもうす暗く、雨が降ると人通りもなくなり、あやしい物の怪でも出てきそうなそれはさみしい所でした。 そんなさみしい所でも、観音様にお加護を願う正直な村人たちは、朝夕せっせと足を運んでお祈りを続けていました。
この山にはたくさんの猿が住んでいて、木から木へと飛び移っていました。猿は時たま、お参りに行く人々に奇声をあげておびやかしたり、しいの実を投げつけたりして、さかんにいたずらをしました。人間の言葉がわからない猿は、お参りに来る人が珍しくて、いろいろないたずらをしかけて自分がいることに気づかせて、友だちになって一緒に遊びたかったのかも分かりません。
しかし、猿のいたずらがだんだんとはげしくなり、里の方までおりてきて三,四匹で集団をつくり、畑の作物をあらしたり、るす番の子どもにまでいたずらをするようになりました。 里の人々は相談して猿を猟銃でうつことになりました。いたずら者の猿でも観音様の境内でせっしょうをすることはできません。頼まれたりょう師も困り果ててしまいました。でも頼まれたのだからと観音様にお祈りをして許しを得てからやっと決心して銃を空に向けて「ズドン」とうちました。
「ズドン」「ズドーン」猿たちはおどろいて右往左往しました。
音におどろいた猿たちは、連れ立って山おくへにげこみました。でも数日するとまた里近くへ来ていたずらをしました。そのたびにりょう師は銃をうっておどかしました。
そのうちに銃を持ったりょう師のすがたを見ると、猿の親分が合図をして猿たちを集め、「うたないで下さい」というように手を合わせるようになりました。

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2024年5月7日
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