岩間の地域紹介
フジガワラ明神
むかし、押辺村の藤瓦という所に大へん御利益ある明神様が祀られフジガわら明神といって村人の信仰を受けていました。
「明神様に願をかけてお参りすると、どんな厄病神も追い払ってくれる」
と、村人は野良仕事の行き帰りにも熱心にお参りしました。
疫痢や赤痢の流行する夏には、村を挙げての祭りがあり境内に集まった近所の人々も一諸になって疫病よけのお祈りをささげ,練り歩くみこしもことのほか勇壮でした。
ところがある年の夏のことです。村に疫痢が大流行して子供ばかりか大人まで次々と病にたおれました。村の人たちは明神様に集まり,疫病退散のお祈りをしました。でも御利益は現れず,村の半分ぐらいのひとが死んでしまいました。
困った村人はむかしからの風習に従って疫病退散のごきとうをして悪霊を封じこめた御神体をみこしにのせて涸沼川に流してしまいました。悪霊を川に流して村の危機を切り抜けることになったのです。みこしにのせられはこばれた御神体は涸沼川岸より水に戻され下流へと流れ去りました。
ある夕暮れ,涸沼川べりのこやすというところで肥おけを洗っていたお百姓さんが,波間に光りただよう物をみつけたので長柄杓の先で引き寄せて見ると、何やら由緒ありそうな御神体でした「これはもったいない。」と持ち帰って屋敷に祀りました。
それからというものこのお百姓さんに運が向いたので信者もふえて、たくさんの人びとに御利益をさずけました。この御神体はこやすの天王様としてたいへんお盛りになり,押辺村からもお参りに行きました。祭りの露払いには、あたらしいこいひしゃくをたてたといわれます。