岩間の地域紹介
サクラ井戸のカッパ
涸沼川が岩間地内に流れこんで、土師を抜け、下押辺の川根橋の下流で大きく湾曲するあたりの深いくぼみを「サクラ井戸」といっていました。
ずっと昔のこと。このあたりに住んでいたサムライが何に使おうとしたのか深い深い井戸をほりました。ほり終わるとサムライはそのままどこか へ行ってしまいました。何年かすぎてその井戸は、涸沼川の流れと合流してそこがものすごい深みとなってカッパのすみかになりました。カッパ はいたずらもので、よく子どもを深みへ引っぱりこみました。
ある日のこと、村の子どもらといっしょに水浴びに行った三吉は夕飯どきになっても帰ってきませんでした。いっしょに水浴びに行った子ども らは、三吉は小さかったので、と中であきてしまって、一人で家に帰ったとばかり思っていたのでびっくりしました。帰ってこないというので大 さわぎとなり、となり近所の人たちがそう出でちょうちんをつけて暗い涸沼川の川っぷちをさがしあるきました。「三吉!三吉!」 とさけぶ声が 川もを走るだけで三吉は見つかりませんでした。「サクラ井戸のいたずらカッパめに引っぱられたにちがいない。かわいそうに。」と、村人は三吉のためになみだをながしました。
それからは、水浴びに行く子どもがちょいちょいサクラ井戸の近くでカッパに引きこまれそうになりました。
ある日のこと。およぎがじょうずの正吉が、たった一人でいい気分でおよいでいるととつぜん何かがス?ッとのびて正吉の足くびをつかむと、 ものすごい力で下の方へぐんぐん引っぱって行きました。正吉は「助けてくれ!」とさけんでも声になりません力いっぱい足をふってもおよげません。
「カッパだなあ。ようし、三吉のかたきをとってやるぞ。」
と、力自まんのとうしがむくむくとわいたきました。くるっと体をまげて、自分の足をつかんでいたカッパのて手は、細くてつめたくてグニャリとし ました。ぎゃくに引っぱられて、
「もうだ目だ。息が続かない。助けてくれ!」
と、む中で水をけったときにふわっと体がういて、真赤な太陽がみえてきました。助かった!ひたりでになみだがでてきました。
それから後、この近くの年よりたちは、「サクラ井戸には近付くな、カッパがでっと。」とまごたちに注意しました。